【代表理事あいさつ】
この度、一般社団法人不動産法務協会を立ち上げました。
我々が目指す「不動産法務」とは、不動産についての権利・契約等についての法務だけではなく、不動産(土地・建物)に関わる規制等の法令全般を包括する広い意味での法務であり、これらを俯瞰した視点から、調査、研究することにより不動産本来の価値を発見することを目的とします。
不動産に関わる規制には、法令ごとの縛りがあり、法令は縦割りであるため、法令どうしは他法令としての扱いであり、一つの物件に複数の法令が関係するとき、一方の法令の許可の要件が充たされていても、もう一方の許可の要件が充たされていないと法令どうし相矛盾する結果となるため、結果として一部の法令のみ条件を充たしていても、その物件自体は不許可状態となるような場合が多く見られます。
不動産に関する法令は、民法、不動産登記法、都市計画法、建築基準法、農地法、その他にも多数の関係する法令があり、それらが一つの不動産に関係してきます。
しかし、これらの法令に基づき規制する行政側においては、一つの不動産に対して関する個々の法令を横断的に全て洗い出し、整理し、まとめて考える機能はなく、また、まとめる機関もありません。個々の法令ごとに、粛々と行政事案として処理するしかないと思います。
では、民間側ですが、不動産から発生する多数の業務は様々な担当する仕業等の専門家が分業するため、個々の担当分野ごとに理解され処理されているのが実情ではないでしょうか。
そこで、不動産に関する様々な業務の壁を取り払い、法令を整理し、俯瞰して考えるには、共に学ぶ機関を組織し、様々な観点から考えていかなければ、本来の不動産の持つ価値や、役割はわからないと思い協会を設立しました。
一般に不動産の問題で困っている方達の中には、実際には「何に困っているか」が分からなく、ただ漠然と困っている状態である場合が多いように見受けられます。
このような、漠然とした問題に、不動産法務について総合判断できる組織は今までなかったように思います。
該当する不動産の関係する法令が判明すれば、何を行えばいいのか、何ができるかの指針を出すことができ、価値不明であった不動産の活用ができます。
一般社団法人不動産法務協会は、専門家が共に学び考える組織を目指します。
代表理事 大内田 省吾